
執筆:黒澤森仁
「背中を見て育つ」なんて、もはや通用しない・・・
そう考えているなら、それは間違いです。
今でもキチッと通用します。
というよりも、今の方が重要な要素だと考えられます。
確かに何も教えず「勝手に盗め」的な教育は難しい。
厳しく接すると、すぐに根を上げる。
ゆとり世代の弊害と言われたりします。
でも、それだけではありません。
豊かになった時代に育ったことで“意味”を考える人が増えた。
という事だと考えています。
昔は「これをやっとけ!」で済んだのに、
今は「なぜ、それをやるのか」キチッと伝える様に。
と言われます。
ただ、それでも「背中を見て育つ」は今でも確実に重要な教育の一つです。
「技術を盗め」という事ではありません。
先日、あるクライアントでの出来事。
複数店舗を展開している中で[A店]がいつも問題が発生する。
「スタッフの不満な発言が多い。」
「スタッフが定着しない。」
「スタッフのやる気が見えない。」
「どうも売上がすぐに下がってくる。」
そんな状況です。
どうしたものか、と相談を受けました。
そこで、まずは[A店]と比較的似ていて上手くいっている[B店]を
色々な面で比較してみました。
理由は色々と考えられましたが、一番の差はすぐにわかりました。
リーダーである店長の差です。
能力が、それ程、違うわけではありません。
違いは店長の「取り組み方や姿勢」といったものでした。
一時期、売上が好調だったA店の店長は自分が売上を上げている。
という気持ちが強くなり無意識に自分の都合を優先させる様になっていました。
例えば、シフトでも自分の都合を優先させ、その後、スタッフに予定を聞く。
といった感じでした。
一方、B店の店長はとにかくよく動いていました。
朝も早く来て掃除。
難しいお客様には率先して対応。
スタッフへのこまめな声掛け。
などなど。
もちろんシフトは出来る限りスタッフのことを優先させていました。
店長の姿を一番よく見ているのはスタッフです。
A店の店長は、
「なぜ、上手くいかないのかわからない。」
「なぜ、みんな自分の言う事を聞いてくれないのか!」
と言っていました。
スタッフはリーダーの姿勢を見ています。
リーダーの働く背中を見てるんです。
店長の背中を見て育った部下は同じような店長になります。
それが受け継がれていき企業文化になります。
リーダーとして、どの様な姿勢を見せるべきか?
常に意識する必要がありますね。
PS.A店の店長には教育をしていきます。
問題が多発するまで問題解決を行わなかった会社の責任もあります。
常に間違いに気付けるような仕組みを社内に導入していく予定です。